私は誕生日があまり好きではない。
そのことにようやく気づいたのは、今年26歳の誕生日を迎えたときだった。
人から祝ってもらえるのはありがたいし、もちろん嬉しくないわけではない。けれど、心から手放しで喜べない。
不思議なことに、人の誕生日を祝うのは大好きで、純粋に楽しめるのに。
誕生日が苦手な理由
どうしてだろう。
少し考えてみて、ある理由に行き着いた。
誕生日は「自分が足りない」という現実に直面させられる日なのかもしれない。
26歳を迎えた私の頭に浮かんだのはこんな思いだった。
・恋人がいない。他の同年代は結婚や同棲をしているのに。
・仕事がうまくいっていない。周囲は社会人経験を積んで落ち着いているはずなのに、私はまだ模索中で、やりたい仕事すら見つけられていない。
数字とともに訪れる誕生日は、過去の自分や周囲と無意識に比較してしまう日でもある。
SNSがつくる「理想の26歳」
もちろん、人によって人生の進み方が違うのは理解している。
それでも、年齢の数字に遅れているような焦りを感じてしまう。
なぜだろう。
きっとSNSにあふれる「理想の26歳像」のせいだ。
仕事にやりがいがあり、恋人とドライブに出かけ、趣味も充実している。そんな姿ばかりが目に入る。
現実には同じように悩んでいる人も多いはずなのに、光の当たる部分しか見えない。
誕生日は、どうしてもその幻と自分を比べてしまう日だ。
誕生日を「自分の進歩を感じる日」に変える
そのことに気づいて、誕生日にポジティブな感情を持つ方法を考えた。
その方法を二つ紹介したい。
① 人生グラフを書く
年齢ごとに「幸福度・充実度」を折れ線グラフにしてみる。
すると、自然と「過去の自分との比較」になる。
・昔より今が意外と充実している
・今は低迷期でも、未来には伸びしろがある
そんな発見があって、今の状態がどうであれ、前向きな気持ちになれる。
② 去年からの小さな変化を書き出す
一年前の誕生日から体験したこと、学んだことを書き出す。
書き出すのは、以下のような些細なことでいい。
・スリランカ料理のおいしさを知った
・Excelをある程度使いこなせるようになった
・栄養学の知識が増えた
・夜ドライブの楽しさを発見した
こうして並べると「去年より成長してるな」と実感できる。
誕生日は未来の抱負を聞かれることが多く、つい「自分がこの一年で達成できなかったこと」に意識が向いてしまう。しかし、抱負や目標を設定することで、ワクワクよりも後悔や自責の気持ちに苛まれることもある。
それなら、「過去から積み重ねてきたもの」を振り返る日にすると、自分が前進してきたことが実感できて充足感を抱くことができるかもしれない。
終わりに
誕生日は、時間の流れを目の前に差し出してくる日。
だからこそ、他人や理想像と比べすぎるとつらくなる。
でも視点を少し変えれば、誕生日は「足りない自分」を数える日ではなく、「積み重ねてきた自分」と出会う日になる。
自分が一歩ずつ歩んできた道のりを誇りに思えたら、少しだけ誕生日が好きになれる気がする。